【コラム第3回】日本の「オーガニック」は信じていいの? 〜国際認証との違いを徹底比較〜

【第3回】日本の「オーガニック」は信じていいの? 〜国際認証との違いを徹底比較〜

【第3回】日本の「オーガニック」は信じていいの?
〜国際認証との違いを徹底比較〜

これまでの連載では、世界的に信頼されるEcocert認証や、「ナチュラル」と「オーガニック」の違いについて解説してきました。

今回は、日本国内の制度や表示ルールが、国際的なオーガニック認証制度とどのように異なるのか、整合しているのかを比較しながら、私たちが本当に“安心して選べる”製品とは何かを考えていきます。

日本には「オーガニックコスメ」の公的基準が存在しない

まず理解しておくべきは、日本において化粧品や日用品における「オーガニック表示」に関する公的な定義・規制が存在しないという点です。

食品に対しては農林水産省による「有機JAS制度」が存在しますが、化粧品、洗剤、パーソナルケア製品は対象外です。

これに対して、海外では、化粧品やスキンケア製品も含めた明確な基準と認証制度が存在します。

国際的なオーガニック認証の例と比較表

代表的な国際認証機関:

  • COSMOS(欧州統一規格)
  • Ecocert(フランス)
  • USDA Organic(アメリカ)
  • NaTrue(ドイツ・EU中心)
  • Soil Association(イギリス)

比較表:

項目 日本国内(化粧品) 国際的オーガニック認証制度
法的基準 なし 各国政府または準拠機関による
第三者認証 なし 必須(定期審査あり)
成分基準 明確でない 天然由来成分95%以上、有機成分規定あり
製造工程の審査 なし 栽培・抽出・加工・包装までカバー
表示管理 自由(事実なら可) ロゴ表示に厳格な条件

英米・EUの制度例:制度整備と市場の信頼性

米国(USDA Organic)では、農産物からパーソナルケア製品まで、「organic」表示に連邦基準(NOP)が存在し、ラベル表示は法律で制限されています。

🔗 USDA NOP Rule: https://www.ecfr.gov/current/title-7/subtitle-B/chapter-I/subchapter-M/part-205

EU(COSMOS/Ecocert/NaTrue)では、ISO 16128(自然化粧品の定義を含む国際標準)に準拠した構成や、複数国間で整合した非営利機関による審査制度が導入されています。

🔗 ISO 16128: https://www.iso.org/standard/62503.html

図解:オーガニック表示の国際比較

表示制度の整備レベル

┌──────────────┐
│ 国際市場(EU/US) │:法的基準あり・認証必須・透明性高
└──────────────┘
          ↓
┌──────────────┐
│ 日本市場          │:自主表示・法的定義なし・誤認リスクあり
└──────────────┘
        

国際認証は“安全性と信頼性の証明”、日本では“雰囲気”に依存しがち

なぜこの違いが重要なのか?

医療・介護・美容現場では、肌への安全性・製品の信頼性が問われる場面が多く、「見た目」や「雰囲気」ではなく、実質と根拠が重要になります。

国際認証は、法的整備された国際的基準と透明な審査プロセスに基づいているため、国内製品であっても、EcocertやCOSMOSのような認証があるかどうかを確認することが、選定の判断軸となります。

まとめと今後の情報発信

  • 日本には「オーガニックコスメ」の明確な法的定義や制度が存在しない。
  • 国際的には、認証制度によって成分・製造工程・表示が厳格に管理されている。
  • 安全性・倫理性・環境配慮の観点からも、国際認証取得製品の価値は高まっている。

次回は、こうしたオーガニック認証製品が実際に医療・介護・美容現場でどのように活用されているか、導入事例や効果を踏まえた実践的な視点からご紹介します。

出典・参考資料一覧